


今回は、ガラス工芸の話をしてみましょう。ガラス工芸に興味を持ったのは、初めて仕事をはじめて職場の展示場で眺めていた頃からでした。
それから前職を退職して、初めてガラス工芸の門をたたいたのは、30代に入った頃でした。中学卒業から始める職人に比べれば、無謀もいいところです。それでもどうしてもやりたくて、工場見学場所から2日間作業を見続けていました。
2日目の夕方仕事が終わった後、思い切って親方に直談判をしたのです。無謀でしょ。
答えは、OKとは言わず履歴書を持って来いでした。当たり前です。それすらも持たず社長にも話を通してもいなかったからです。よく怒鳴られなかったなぁ・・・
社長には、改めて思いを文章にしてみてもらい、なんとか入社を認めてもらいました。人手が足りなかったこともあったのでしょう。
そんなわけで、ガラス職人の道が始まるのですが、恥ずかしながら一か月と持ちませんでした。
言い訳ですが、経験もない、炉の前は1400℃、室温60℃、火傷の毎日、親方の罵声、疲労困憊でした。
このままでは迷惑がかかると、泣く泣く辞職を申し出たのですが、「営業」か「切子」をやってみないかとお言葉が。ものづくりを希望していたので「切子」をお願いしました。ありがたいことです。
「切子」をご存じですか?江戸や薩摩が有名ですが、日本の代表的な伝統工芸品です。西洋ではカットグラスとも言いますが、独特の製法で、出来上がりは日本そのものを表しているようです。大変やりがいのある仕事です。
そんなわけで、改めて「切子」の修行が始まるのですが、それからの問題は山積みでした。
この話は、また今度にしましょう。